送風機の運転と保守

起動
1. 軸受等が水冷式の場合冷却水を通す。水温は25℃以下とする。

2. 軸受の潤滑油を確認する。潤滑油は普通グリース潤滑と油潤滑がある。グリース潤滑の場合は軸を手回ししながら指定油を指示量給油する。油潤滑の場合は油槽に指示量だけ、指定油を入れる。

3. 手回しにしてその他異常がないか確かめる。

4. 吸込み・吐出弁を全閉にする。

5. 電動機スイッチをちょっと入れて、回転方向及びその他の異常がないか調べる。

6. 以上、異常がなければいよいよ本運転に入るが、その前にあらかじめ運転員の各担当をきめ各部の調査記録、緊急時の処置等がスムーズに行なわれるように打合わせる。

運転
1. スイッチを入れて全速回転に達した後、軸受温度、異常音、振動、電流等に注意をはらいながら吸込み又は吐出弁を徐々に開く。
この時特にサージングをおこす送風機の場合は、サージング範囲は早く弁を開き、サージングを避ける。この時電流計を見ながら過負荷にならないようにする。 この時特にサージングをおこす送風機の場合は、サージング範囲は早く弁を開き、サージングを避ける。この時電流計を見ながら過負荷にならないようにする。

2. 送風機の場合、軸受が最も大切である。軸受の温度には常に注意を払う。一般に軸受温度上昇値は40°C程度で軸受温度は80°C位である。

3. 送風機の振動に注意する。据付状態、用途、構造等により振動は異なるが、一般に振動は別紙判定グラフの良以上が普通である。

4. ガスブロワにおいては軸受シールを用いてあるからこの部分の発熱、ガス漏れなどにも注意する。

5. 高温用送風機の場合、急激な温度の変化が生じないよう吸込ガス温度の調節が必要である。又、送風機の停止も温度が十分下がってから送風機を停止させるようにする。

6. ガスブロワを運転する場合、まず空気とガスを置換えしなければならない。爆発性ガスの場合、空気とじかに置換え出来ないので空気を窒素ガス等と置換えし、のちにガスを吸込ませる。

又、比重の軽いガスを取扱う場合、置換えしないで、空気で運転すると動力が増大して過負荷になることがある。

・警告表示の説明
送風機についての警告表示をしています。

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送風機についての警告表示をしています。

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停止
モートルを停止させ、吸込・吐出弁を閉じる。

休止
送風機を掃除し錆止めを施し、冷却水を完全に排水する。翼車は掃除してアンバランスのないことを確かめる。

保守
送風機を安全に運転し、寿命を長く保たせるためには、保守を十分に行う必要がある。特にガスブロワの場合、点検は毎日始業時、終業時とも行うようにする。

1. 運転中の一定時間の記録は必ずとる。記録は各部の温度、動力はもちろん始動、停止、使用状態の変化等を記入する。記録の急激な変化は故障、事故の前兆となるのでその記録の検討を毎日行う。

2. 停止時には、予備機として使用するものはもちろん、常に使用出来るよう整備しておく。長く停止する場合でも半年に一度は定期点検を行う。

3. 次に各部品の点検及び補修について示す。

(3-1)軸受
ほとんどの場合ころがり軸受を使用している。この場合、常に音響に注意し摩耗状態を調べる。

(3-2)潤滑油
油又はグリースを使用しているが、必ず指定油を定量ずつ定期的に補給又は交換すべきである。特に高温用送風機の潤滑油の劣化は非常に早いので注意を要する。

潤滑油の選定 表1
軸受け温度 
軸受油・タービン油

50℃

80℃

100℃

120℃

ISO VG 46

ISO VG 68

ISO VG 150

ISO VG 320

 

潤滑油の交換期間(100〜500cc/回)表2

軸受温度

かなりきれい

ごみが多い

湿気・ごみが多い

50℃

80℃

100℃

120℃

1年

6ヶ月

3ヶ月

1ヶ月

6ヶ月

3ヶ月

1ヶ月

2週間

3ヶ月

1ヶ月

2週間

1週間

(交換は送風機停止中)

潤滑グリースの選定

インサート軸受ユニット
軸受温度 グリース
80°C アルバニア
No.2
120°C SH44M
ユーレットEDM-1
小型TB型ブロワ軸受ユニット
軸受温度 グリース
80°C マルテンプ
SRL
120°C ユーレット
EDM-1
軸受ユニット
軸受温度 グリース
80°C マルテンプ
SRL
120°C ユーレット
EDM-1

 

潤滑グリースの補給期間(10〜30g/回) 表3

軸受温度

かなりきれい

ごみが多い

湿気・ごみが多い

50℃

80℃

100℃

120℃

6ヶ月

3ヶ月

1ヶ月

2週間

3ヶ月

1ヶ月

2週間

1週間

1ヶ月

2週間

1週間

3日間

(給油は送風機運転中)

グリース給脂についての注意を表示しています。

(3-3)Vベルト
Vベルト駆動の場合、送風機軸と電動機軸は正しく平行でVプーリの溝の中心を正しくあわさなければならない。
平行度の狂い(スキマ)を下に記す。

芯間距離(mm)

400

500

600

700

800

900

1000

1200

1400

1600

1800

スキマ(mm)

0.5

0.7

0.8

0.9

1.1

1.3

1.5

1.7

2.0

2.3

2.6

Vベルトは、新品時から運転1ヶ月程度が一番よく伸びるので、この間に必ずベルトの張りを調整し、その後6ヶ月に1回程度再調整を行う。ベルトのゆるみは、発熱、プーリの摩耗、送風機能力の低下等、非常に影響が大きいので、特に注意すべきである。
Vベルトの張り調整は概略下記表を参考にされたい。
なお張力の調整は一般には電動機をスライドベースに取付けるか上下動架台等の上に取付けて電動機を移動して調整する。

p.2-7.jpg

たわみ量
ベルトの種類 たわみ
荷重F(kg)
スパンLs (mm)
400 500 600 700 800 900 1000 1200 1400 1600
A 1〜2
3V 2〜3 6.4 8.0 9.6 11.2 13 14 16 19 22 25
5V 4〜6
(スパンの中心部にたわみ荷重Fをかけその時にVベルトがたわんだその量を示す。)

 

ベルトの形、サイズ、本数、注意事項を表示しています。

ANTブロワ_ロゴ.emf

Vベルトの張りの最も良い状態はVプーリの平行高の高さが1/3°以内で最大荷重がかかってもスリップしない程度でできるだけゆるく張ったものです。張りがゆるすぎますとスリップしてプーリ、ベルトが発熱し、寿命が極端に短くなります。
又張りが強すぎますと軸受に荷重がかかり軸受の発熱しいては軸受の故障につながります。

(3-4)軸継手
送風機と電動機を軸継手により直結してある場合は継手の外面とその間隙は2〜6mmで送風機の熱膨張、電動機の軸方向の遊び等により決定する。

p.2-8.jpg
  @ A
@?角は1/6°以内 A?心は0.2mm以内

(3-5)羽根車
据付当初より振動が増大している場合は羽根車のバランス調整を行なわなければならない。普通空気用の場合、十分掃除をし、バランス調整をすれば相当長期間使用出来るものである。
バランス調整には動的つりあい(ダイナミックバランス)と静的つりあい(スタティックバランス)があり、当社の製品は全て動的つりあいに調整されている。
又、羽根の摩耗、腐食などで各部の厚みが薄くなったり、鋲等にゆるみがないかハンマー等で十分打診すること。
羽根車の異常は後日思わぬ事故の原因となることもあるので十分な対策が必要である。

次の送風機軸受における振動状態の判定基準グラフを参考にして送風機の運転状況の判断をする。
送風機の場合、良以上の範囲で運転する。(JIS B 0905. ISO 1940)

p.2-9.jpg

送風機の異常とその対策

故障の状況

原因

対策

振動

○軸受不良

○翼車のアンバランス

○軸の曲がり

○軸受箱不良

○翼車の破損、摩耗

○異物混入

○基礎又は据付不良

○Vプーリの芯の狂い

○カップリングの芯の狂い

○サージング発生

取替

釣合試験を行う

取替

取替

補修又は取替

掃除

基礎の改造又は据付直し

調整

調整

放風又は改造

風量低下
(不足)

○Vベルトの伸び

○翼車にダストの附着

○回転方向の誤り

○バイパス操作の誤り

○吸込フィルターのつまり

○配管抵抗の増大

○計画の違い

調整又は取替

掃除

変更

変更

掃除

改造

改造

電動機過負荷
(風量増大)

○配管抵抗の減少

○電動機容量不足

○バルブ操作の誤り

○吸込ガス比重の違い

○軸シール関係の摩擦

○計画の違い

ダンパー又は回転数にて調整

取替

変更

電動機取替

改造又は電動機取替

改造

運転不能

○電動機の不良

○電源の不良

○翼車とケーシング接触

○慣性モーメントの過大

○軸シール関係の摩擦

○ガス比重の増大

取替

取替

改造又は調整

改造又は電動機取替

改造又は電動機取替

電動機取替

ガス漏れ

○軸封シール不良

○パッキング不良

○Oリング不良

○各シール、パッキング挿入法不良

○鋳物その他のピンホール

○ガス入圧過大

○ラビリンス不良

取替

取替

取替

入替、調整

補修又は取替

改造又は取替

調整又は取替

予備品
予備品は用途と周囲環境によって、その部品と数量を決定すべきである。
送風機全体(電動機を含めて)を予備として、1台まるまる用意しなければならない場合もある。一般に、軸受、オイルシール、Oリング、パッキング、Vベルト、軸継手ボルト等があればよい。

部品の取替期間
送風機の寿命はその使用条件、特に運転時間、据付け状態、用途、周囲環境等により著しく変わる。右表に、各消耗品の一般的な取替え期間を記した。
あくまで標準的な使用条件下であるのでその使用温度、取扱いガス等により極端に短かくなることもあるので注意されたい。
摩耗のはげしい場合または腐食が多いときには羽根車、軸、軸受等、回転部分を一体として用意しておけば容易に取替が出来る。
特に当社のANT送風機は、ファンケーシングに取付けてある配管等のとりあいに関係なく、羽根車、軸受の取替えが出来る構造である。又、TB型小型ブロワの軸・軸受が一体となった軸受ユニットを用意している。

ブロワ・ファンの部品交換期間

軸受

2〜5年

オイルシール

0.5〜1年

Oリング

2〜5年

Vベルト

1〜2年

潤滑油

1〜6カ月

潤滑油補給量  

[上記は標準空気のもとで、常温大気を取扱う送風機の場合で、条件が異る場合は短かくなることもある。]

予備品リスト
ANTブロワ_ロゴ.emf

 

型  番

数量

軸  受

 

オイルシール

 

Oリング




 





Vベルト

 

潤 滑 油
オイル・グリース
   

エアーフィルター

 

 

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